(再び)とある建設設備会社での会話
社長「A君、先回貸してあげたパンフレットの件はどうなったかな?」
社員A「あ、これは社長。たまにはこんなのを見て勉強しなさいって貸していただいた例のパンフですね。
あれ随分見やすくて面白かったですよ。いまから10年以上も前に我が社も結構、気の効いたものを
作っていたんですね。」
社長「ほう?三部とも貸したかな?どんなところが印象に残ったかな?」
社員A「そうですねぇ。この第1部のトイレの計画に関するチェックポイントなんかはさすがに今はそのままは
使えないかもしれないですけどこんな風に手持ちの商材をレジュメにしてメニュー形式でお客さんに選
んでもらうための資料はボクも作っておこうと思いました。
今だとウォシュレットタイプとか保温便座とか省資源型とか選択肢も増えてますから・・」
社員A「それとこの第2部のトイレの計画のチェックポイントも良いですねぇ。
どうしても個人のお客様は全ての要素をご存知じゃないですから考えておくべきポイントを視覚的に示
すっていうのは有効だと思います。
トイレって当然、便器だけで出来てるわけじゃないですし、ひとつの個室でもあるわけですし
何のかんのといっても毎日利用する場所ですからいろいろな観点で考えてもらって後で使いにくいとか
クレームをもらわなくて良いような提案と相談をしないとだめですもんね。」
社員A「あとは各号のコラム的な存在の『トイレの歴史』シリーズみたいなのも薀蓄大好きのボクとしては面白
かったですよ。
まあ今のトイレを見ても本質的に変わらないなあと思うところもありますし、随分進歩したもんだなぁ
と感心することもありましたよ。」
社長「いろいろと気が付いたことがあったようだが肝心の私が渡した第3部についてはどうかな?」
社員A「ああこれですか?なんかピンとこないというかコンピュータがこれだけ安くなった時代に別に紙で簡易
の計算なんかしても意味があるのか正直わかりませんでした。」
社長「まあ率直な感想ではあるのだろうけど私がこれを通して伝えたかったことの本質をちっとも理解してない
ようだねぇ。ちょっと残念だよ。」
社員A「え、あの内容社長が考えられたんですか?じゃあんまりにもズケズケ言って申し訳なかったです。」
社長「別に率直な感想は構わないよ。むしろ歓迎したいぐらいだ。ただあなたはあの資料の背後にあるものつまり
結果としてのノモグラム(計算図表)がどういう理論的な背景を持った計算で作成されたか考えたかね?」
社員A「いえ、でも直線でしかも目盛りのくぎりは均等でしたから一次関数で表せる簡単な式だなって思いました。
それじゃだめなんですか?」
社長「あなたは私が渡した第3部のパンフレットだけじゃなくてわざわざ探して全部のパンフレットを見たわけ
だろう?そしてトイレの構成要素が結構多いことに気が付いた・・・」
社員A「あ、そうか!トイレを作るのに前もって考える要素は多い。なのにせいぜい3個の説明変数の一次式で
見積概算ができるわけか?え、ってことは・・・
わけが判らなくなってきたぞ。配管の長さと便器の単価とあともう1つの単価、えっと内装の概算価格で
全体の工事費が概算出来るわけか?社長これってどうなってんですか?」
社長「やっとこの資料の面白さに気がついたようだねぇ。これは多変量解析法の中の重回帰分析という統計分析の
手法が関係してるんだ。つまり・・・」
こうして社員Aと社長のトイレ計算の話はまだまだ続きますが今回はきりの良い(?)ここまでです。
この話の顛末は次回、統計あるいは多変量解析の話としてご紹介します。お楽しみに!
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